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森山開次画
2021 森山開次画

INTRODUCTION

身体と音と詩が走り出す、
不思議な列車の冒険。
2025年秋、東京で――
多様な感性が響き合う新たな舞台が誕生

振付家・ダンサーの森山開次を中心に創り上げる舞台『TRAIN TRAIN TRAIN』。物語の舞台は、不思議な音色を奏でる蒸気機関車“ムジカ”。そこに集う個性豊かな乗客たちと不思議な機関車が奏でるこの旅は、新たな出会い・発見・冒険に満ちています。子どもも大人も、視覚でも聴覚でも、あらゆる感性で楽しめる、新しい舞台作品がここに誕生します。

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舞台『TRAIN TRAIN TRAIN』は

想像溢れる世界観と身体表現を生み出し、振付家・ダンサーとして類をみない活躍を見せる森山開次を中心に創作するオリジナルの舞踊作品。「TRAIN」をモチーフに、不思議な音色を奏でるSLとユニークな乗客が繰り広げる冒険譚を、多彩なキャスト・アーティストが魅力溢れるシーン満載で綴ります。

新しいコンセプトの創作

振付家・ダンサーの森山と舞台芸術での共生社会実現に取り組んできた東京芸術劇場、表現活動を通じて多様性のある社会をめざすNPO法人「スローレーベル」の芸術監督を務める栗栖良依とがタッグを組み、多様な視点と感性から舞台芸術をひらく全く新しいコンセプトの創作に挑戦します。

多彩なキャスト×トップクリエイター
の共鳴

出演に和合由依、岡山天音、坂本美雨、KAZUKI、はるな愛ほか、総勢23名の表現者が集結。ろう者の俳優・ダンサー、義足のダンサー、一輪車パフォーマー、車椅子で即興表現を得意とするパフォーマーなど、多様な背景や感性を持つキャストが舞台を躍動させます。また演出・振付:森山開次、音楽:蓮沼執太、脚本・言葉:三浦直之ら豪華クリエイター陣が、イマジネーション溢れる世界を創り出します。

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多彩なキャスト

出演には、東京2020パラリンピック開会式で主役の“片翼の小さな飛行機“を務め、俳優としても活躍の場を増す和合由依。独自の魅力と演技力で際立つ存在感を見せる俳優の岡山天音、美しい歌声と知的で朗らかな魅力で多彩に活躍するミュージシャンの坂本美雨、ろう者俳優・デフパフォーマーとして手話表現を生かした豊かなパフォーマンスを生み出しているKAZUKI、大ブレイクしたエアモノマネのみならず、魅力的な歌声とキャラクターで国民的な人気を誇るタレント・歌手のはるな愛をはじめ、23人の魅力的なキャストが揃いました。

義足のダンサーとして唯一無二の存在感を放つ大前光市、映画や舞台の主役を務め、聴覚の障害も個性に変えて目覚ましい活躍を見せるダンサーの梶本瑞希を始め、浅沼圭小川莉伯梶田留以水島晃太郎南帆乃佳など魅力と才能を兼ね備えた素晴らしいダンサー陣が圧巻の身体表現で舞台の中核を担います。舞台手話通訳者かつ俳優としても活躍する田中結夏ほか、一輪車アーティスト、即興ダンサーなど、一般公募のオーディションも経て、障害の有無を超えて集った魅力溢れる出演者が作品を豊かに彩ります。

蓮沼執太と三浦直之

森山とともに本作の世界を生み出すのは蓮沼執太と三浦直之。音楽家の蓮沼執太は率いるミュージシャンとともに音楽を全編書き下ろし、劇作家・演出家の三浦直之は、森山のイマジネーションに寄り添い言葉を紡ぎます。

映画、演劇、ダンス、CM楽曲、音楽プロデュースなど多岐にわたって活躍する蓮沼執太は、その活動の中で社会との関わりや、共存や調和の大切さを表現してきています。実験的な要素を取り入れつつ、親しみやすいメロディーやリズムも重視した独特のサウンドを生み出す蓮沼が、イトケン三浦千明宮坂遼太郎とともに生演奏も駆使して音色を奏でます。本作のために生み出される彼らの音色は、忘れられない体験をもたらしてくれることでしょう。

劇団ロロを主宰し、日常の些細な出来事や出会いをパッチワークのように紡いで豊かで人間味のある物語を生み出す三浦直之。演劇の枠にとらわれず、ドラマ・映画への脚本や歌詞提供などでも活躍し、その煌めきで心を掴む三浦の言葉は、森山の想像力の溢れる世界観に寄り添い、観客の心に深く響く言葉を生み出します。 森山が創造する世界観と身体表現、蓮沼が引き出す様々な音色、三浦が紡ぐ言葉が、多様な出演者を通じて響きあい、どんな魅力的な世界が生まれるのか?ぜひ、ご期待ください。

不思議な蒸気機関車「ムジカ」の旅

ムジカ 写真
2021 森山開次画

詩人が不思議な列車「ムジカ」と出会うことから物語が始まります。列車の名は「MUSIC=音楽」の語源であるラテン語の「musica」という言葉から名付けられました。「musica」ははるか昔、音楽だけではなく、舞や詩など、広く豊かな芸術を内包した言葉。この舞台では、語源の「musica」を目指し、豊かな芸術の世界を旅します。詩人は旅する中で、多様な存在と出会いながら、“まだ見ぬ自分”や“多様な他者”を見つけていきます。それは、誰の中にもある“表現の列車”を走らせる、想像と創造の旅です。

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森山開次の創作ノート「不思議な蒸気機関車「ムジカ」の旅」より

ある街に、詩人がいました。

詩人は、不思議な音が響く蒸気機関車に出会います。

列車に乗り、導かれるように旅に出ます。

色々な音を響かせ煌めかせ、詩を拾い繋ぎ、舞い走る列車。

列車は、さまざまな乗客を乗せ、旅をします。

そして、さまざまな風景を走ります。

詩人は心を澄ませ、世界を見聞きし、詩を綴り、踊り巡ります。

ラテン語の「ムジカ」は「音楽」の語源、遥昔、広く豊かな芸術を内包した言葉。

この舞台、この列車は、「詩」と「音」と「舞」が織りなす「ムジカ」を響かせます。

パラリンピックから未来へ ―
レガシーが息づく舞台

開会式 写真
東京2020パラリンピック開会式より
写真:長田洋平/アフロスポーツ
開会式 写真
東京2020パラリンピック開会式より
写真:The New York Times/Redux/アフロ

この作品は東京2020パラリンピック開会式の“絆”から生まれました。森山開次が描いた一枚の絵から、開会式で主役を務めた和合由依をはじめ、当時のキャスト・スタッフに新たな仲間が加わり、『TRAIN TRAIN TRAIN』のカンパニーが誕生。2021年、日本中に感動を読んだパラリンピックのレガシーが、2025年の東京に新たな物語を走らせます。

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2021年の東京2020パラリンピック開会式。その中心で"片翼の小さな飛行機"を演じたのは一般公募で選ばれた当時13歳の和合由依でした。個性豊かなパフォーマーたちが演じる乗り物との出会いを経て、勇気を出して飛び立つ物語が描かれ、多様な個性の躍動が感動を呼びました。本作はその絆╱レガシーから誕生する舞台です。

キャスト・スタッフは開会式終了後も絆を保ち、創作意欲をあたためてきました。そして開会式で演出・チーフ振付を務めた森山開次が描いた一枚の絵から本作が生まれます。

本作では森山を中心に、パラ開閉式ステージアドバイザーを務めた栗栖をアクセシビリティディレクターに、パラ楽団を率いた蓮沼執太を音楽に、衣装の伊藤佐智子、ヘアメイクの計良宏文、宣伝美術の浜辺明弘らのクリエーター陣と再び手を携え、開会式で総合演出を務めたウォーリー木下は応援団長としてスペシャル・アンバサダーに名を連ね、和合由依はじめ開会式を彩ったキャストたちに、新たなキャスト・クリエイターが加わり、新創作に挑みます。

「誰もが楽しめる舞台」への挑戦

「視覚だけ・聴覚だけ・視覚と聴覚両方でも、それぞれ舞台を楽しめる」 そんな舞台表現を目指し、さまざまな観客の感覚に届く工夫を凝らしています。「サイン・ミュージック」を取り入れたシーンへの挑戦、気軽に楽しめる鑑賞サポートシステムの導入、作家が手がける音声ガイドなど、クリエイティブ、アクセシビリティ、双方のスタッフが創作から関わりながら「多様な感性が響き合う新たな舞台」を目指して制作に臨みます。これは、舞台芸術のあり方や創り方を捉え直し、新たな価値観を生み出すプロジェクトでもあります。

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「多様な感性が響き合う新たな舞台」への4つの挑戦

1)感覚をひらく、共に創る舞台

創作段階から多様な観客を想定したクリエーションを展開。「視覚と聴覚、両方駆使しなければ舞台は楽しめない」という従来の常識を超え、「聴覚だけ」「視覚だけ」「視覚と聴覚両方でも」それぞれの方法で楽しめる舞台の創作を目ざして、構成・振付・音楽・テキスト・映像など、多彩なクリエイターとともにアイデアを凝らして創ります。

2)身体で奏でる、もう一つの「おんがく」

手話をベースに身体で「おんがく」を再構築する「サイン・ミュージック(Signed Music)」を実践するろう詩人・Sasa-Marieをサイン・ミュージックのドラマトゥルクに迎え、森山開次による振付とともに、“目で見る世界を通じて「おんがく」を楽しむ”新たな舞台体験を生み出します。

3)想像力を導く、ひらかれた観劇体験

三浦直之は舞台上の言葉だけではなく、音声ガイドの台本も手がけます。これは本作の大きな魅力です。 視覚に障害のある方のための情報保障にとどまらず、観客の誰にとっても、想像力で物語の世界を広げるガイドとなるよう制作します。

4)自由に選べる、観劇のスタイル

「音声ガイド」「字幕」の鑑賞サポートを、個人のスマートフォン等の端末に配信するシステムを採用することで、障害の有無にかかわらず、だれでも自由な座席から手軽に利用できるように試みます。

※アクセシビリティ専門家の活躍と実践研修の提供
上記の試みを実現するために、様々なアクセシビリティの専門家が活躍しています。また、アーツカウンシル東京「芸術文化分野の手話通訳研修プログラム」を修了した手話通訳者に、実践研修の機会を提供します。

舞台芸術でレールのない未来へ

私たちはどんな列車を走らせ、どこへ行けるのか? 様々な思いが蒸気となって、歓喜の汽笛を鳴らし、想像力の車輪を走らせます。『TRAIN TRAIN TRAIN』は、誰もが乗れる、心を揺らす舞台の旅。―まだ見ぬ世界を駆け抜けるー列車に、どうぞ、ご乗車ください。

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思いきり空気を吸い込んで、

思いきり蒸気を吐き出し踊る。

私たちはどんなSLを走らせ、どこへ行けるのだろう。

いろんな光や音と出逢いながら、

レールなき道を心と体を揺らして踊り繋いでゆく。

歓喜の汽笛を高らかに響かせて、

まだ見ぬ世界を駆け抜けたい。

森山開次